子どもは未来からの使者!?「大人と子ども」ではなくお互いを尊重した本音で話す大人気先生の真意とは?<働くを楽しくのヒントを伝えるマガジン>

アイキャッチ インタビュー

こどもの頃、学校や塾など家族以外の身近な大人として、お世話になった“先生”。

実際に先生として働いたことはなくても、生徒としてその仕事を近くで見てきた人がほとんどではないでしょうか? 保護者以外の身近な大人として、憧れを抱いた人もいると思います。

そこで特別企画として、あらゆるポジションで活躍されている「先生」シリーズをご用意しました。
イキイキと働く先生の姿にも、「はたらくを楽しく」たくさんのヒントがつまっています。

今回は、働くママであり、家族のような関係性で、のびのびと勉強ができる
一風変わった人気の個人塾「照子舎(てらこや)」主宰・重本先生にお話を伺ってきました。


<語り手>重本 美紀先生

インタビュー

プロフィール
1975年岡山県倉敷市生まれ。児島高校、岡山大学史学科東洋史専攻卒業。高校の世界史教師をめざしていたが、卒業後に受けた教員採用試験後、パチンコ屋でアルバイトしてためたお金を元手にタイへ渡り語学学校へ通う。帰国後に某大手個別指導塾で塾講師を経て、結婚・出産後、32歳で学習塾「照子舎」をスタート。大学生2人、高校生の三女の母。星野道夫に強くあこがれ、ソロキャンプをするため最近原付免許を取得。趣味はロックフェス、寺社仏閣巡り。

<ライター>ケイスケ


●もくじ
1.教科選択を”間違えた”ことから始まった、自分の塾
2.こどもたちがイキイキする家族のような塾「照子舎(てらこや)」
3.ノートを通して「過去の自分」が

今の自分を励ましてくれる
4.多忙な中に遊び心を。

「働くママ」の一工夫
5.教育とは「祈り」

一律ではない「公平性」でお互いを尊重する関係性を。




教科選択を”間違えた”こと
から始まった、自分の塾

インタビュー

――――重本先生がご自身の塾を立ち上げるに至った経緯を伺いたいと思います。初めから個人塾をしたいと思われていたのですか?

重本先生
初めは学校の先生になりたいと思って、教員採用試験を目指していました。先生になりたいと思ったきっかけは、大学一年生の時に家庭教師になったことです。

当時は、私が学費と旅行資金のために働いていたパチンコ店の同僚に、お子さまの家庭教師をお願いされたんです。

その方はシングルマザーで、ご自身が小学生のときの家庭教師が優しい大学生だったこと、そのときに教えてもらった勉強がとても楽しかった経験があったことから私に家庭教師を依頼してくれました。
ですが、突然その方が駆け落ちで、蒸発されてしまったんですね。

教えていたお子様はもともと一緒に住んでいた祖父母に引き取られたんですが、親が大事に育てようとしていても、結果としてこのような不遇な環境境遇にあるお子さまたちがいるんだと思いました。

パチンコ店の同僚やそのお子様のように、さまざまな難しい境遇にある方がいるのを知ったことで、ますます教育に強い関心を持つようになりました。

――――その後、教員採用試験を経て学校の先生になられるわけですね?

重本先生
いえ、実は締切日を勘違いしていて応募できませんでした。

教員採用試験への応募期間中にあった教育実習に追われていたせいか、うっかり間違えてしまいました。翌年も採用試験を受けようと思いましたが、在学中に個別指導塾の先生になったことで、気持ちが変わりました。

個別指導塾では生徒と関わる時間が多く親密な時間を持てたことが楽しかったので、教員ではなくこのままの立場でいこうと思えたんです。

――――人生っておもしろいですよね。そこから個人塾を立ち上げられた経緯を教えてください。

重本先生
大手個別指導塾で働いていたんですが、通常は他の個別指導塾も含めて「先生1人に対して生徒3人」が当たり前だったんですね。

しかし、授業一コマが90分なので、生徒3人体制では、一人当たり30分ずつしか見てあげられない。なので、当時の室長は「先生1人に対して生徒2人」のシステムを採用していたんです。

私はそれが本来あるべき形だと思っていたんですが、その室長が別の方に変わったタイミングで「先生1人に対して生徒3人」体制に戻ってしまい、「それならもう自分の塾を作ろう」と思ったのがきっかけでした。

当時教えていた生徒の親御さんが、私が独立を決めた時も「あなたじゃないとダメなので、お願いします」とおっしゃってくれたときは嬉しかったですし、安心して独立できました。


こどもたちがイキイキする
家族のような塾
「照子舎(てらこや)」

――――「照子舎」ってどんな空間なんでしょうか?

インタビュー

※最近導入したプロジェクター。
生徒たちが大好きなウンチの指し棒で、
いかに影をつくらず指すかを研究している様子。

重本先生
授業スタイルとしては、まだ習ったことがない新しい分野を習う60分と、生徒がそれぞれ自分では分からず持ってきた問題などを一緒に学ぶ30分に分かれています。

場所としては、勉強する場であるとともに、私の生活の場に来てもらっている感じです(笑)。
ご飯を食べたり、子どもにお菓子をあげたりもします。

子供たちは学校で最下位の子から医学部を目指す子までと、その学力はさまざまです。学ぶ内容は違えど一緒の空間にいることで生徒同士で教えあったり、それが自分の復習になることもあります。

同じ授業で同じ内容を教えているはずですが、受講する生徒のバリエーションが多すぎて二度と同じことが起こらないのが楽しく、醍醐味でもありますね。

勉強はもちろん大事ですし、ここ照子舎は勉強を教える場です。

けれど、ここが同時に子どもたちが「安心して自己開示できる場所」子どもたちにとって「落ち着ける安全基地」であることも同じくらい重要だと思っています。

ですので、自分を出してもらえるように生徒と本音で話すことを心がけています。
外では誰にも言えないけど、ここでなら言える、話せる。
子どもたちにとって、照子舎はそんな場所でありたいです。

インタビュー

※和気あいあいとしながらも右の女の子は100点!
生徒同士で勉強の教え合いも活発なようです。
教室のいろんな場所に、
和み効果のぬいぐるみがたくさんあるそう。

私、人が机に向かっている姿を見るだけで元気が出るんです。
授業参観も「偉いなぁ」って思えるので子どもを見に行くのが大好きです。でも勉強に限らず、行事や部活で頑張っている人たちの姿を見るのも大好きなので、「その時期にしかない、輝ける一瞬」を見るのが好きなのかもしれません。

大人の一日を振り返ると、何かを繰り返す中でたまに新しいことを積み重ねるじゃないですか。
でも、子どもたちは毎日毎分、これまで知らなかったことを頭にどんどん入れていかないといけない。そんな子どもたちを見ることで、初心にかえることができるんです。


ノートを通して
過去の自分が
今の自分を励ましてくれる

――――生徒の皆さんの成績や、日々の出来事の中で一喜一憂することもあるかと思います。壁にぶつかったり落ち込んだ際、重本先生独自の立ち直る方法はありますか?

重本先生
大学ノートに思ったことを書いたり、その日の思い出を貼り付けたりしています。

貼り付けるのはその日に観た映画の半券とか、もう何でもです。
その日にやった難問について書き残したり日記のようなものもノートにつけているんですが、これを見返すと落ち着くんです。

これを始めてからもうかれこれ7年くらいになって、今ではだいたい3ヶ月のペースでノートがいっぱいになり30冊くらいのノートになりました。
これを見返すと「当時書いていたことが実際に叶ってるな」とか、「昔も同じ失敗してるから気をつけよう」というように、過去の自分に励まされている感じがするんです。

書くときのルールは、そのときに書いたらそこで終わること。
私は常に思考している状態なんですが、頭がごちゃごちゃしてくると書き出します。ふとしたときには、モチベーションが上がる名言を大きめに書いたりもします。それで終わり。

自分を”パソコン”に例えると、このノートは”USBメモリー”ですね。
書くだけで結構すっきりするんです。このノートを見返すときは、落ち込んだときややる気が出ないときだけなんですが、過去の自分から元気をもらっています


多忙な中に遊び心を。
「働くママ」の一工夫

インタビュー

※最近人気の煮干しチャレンジ。
(点数に合わせて煮干しの袋を支給するシステム)
65点以下は煮干し一袋持参するルール。
子どもたちに大好評で、
煮干しチャレンジをやり始めてから
点数が爆発的に上がった子が何名も出たそうです。

――――重本先生が働く上で普段の生活から心がけていることはありますか?

重本先生
普段の何気ない行動から、毎日同じことをしないようにバリエーションをつけるようにしています。

例えば、自宅から塾までを10〜15分かけて毎日歩くんですが、毎日違う道を通るようにしています。
小道を選んでみたり、好きなお地蔵さんに挨拶できる道を通ったり、出発時間を変えてみたりもします。授業中は教える教科が違う中で生徒がそれぞれ口にする話や言葉を、それはもう聖徳太子のように聞いてついていかないといけません。

常に脳を働かせるために、普段から脳に刺激を与えるように新しいことに取り組むようにしていますね。長らく運転免許を持っていなかったのですが、夏に原付免許をとってまた世界が広がりました。原付免許をとって早速、ソロキャンを楽しんでいます。京都の大学に通っている次女のところにキャンプしながら遊びに行こうと思ったりしています。

また、私はロックフェスに行くのが好きなので、塾までの道中にある経由地や目的地をフェスになぞらえて「マウンテンステージ」「マリンステージ」のように設定して、好きな音楽をイヤフォン越しに爆音で聴いたりもします(笑)。

――――想像力が豊かですね!3人のお子様を持つ「働くママ」としての心構えなどはありますか?

重本先生
私は家事をキッチリするタイプではないですし、主人もお母様が教員だったこともあり完璧な家事をそもそも求めない人なんです。
子どもには、「朝ごはんは自分で作りなさい」って言っているくらいです。主人と、近所に住む母と協力しながら、完璧を求めずにうまく手を抜いている、という具合です。

自分で選んだとはいえ、「自分の子どもが家にいる時間に他の子どもと一緒にいる」という仕事をしていることを考えた時に、ふと悲しくなることもあります。

でも、家族との時間を犠牲にしているからこそ、それ以上のことを仕事でしていると自分自身を誇りに思えるように活動しているつもりです。家族との時間を減らしているから中途半端なことはできないと思うし、だからこそ子どもたちにも誇りに思ってもらえるような生き方をしていきたいと思っています。


教育とは「祈り」
一律ではない「公平性」で
お互いを尊重する関係性を。

――――そんな強い想いとともに運営されている「照子舎」を通して、生徒たちに伝えたいことは何ですか?

インタビュー

重本先生
学校が「集団の中で心技体の基礎体力や生きる力を育む場所」だとしたら、塾は「勉強を軸に自分自身を深く見つめる場所」「自分の興味に沿っていくらでも力をつける場所」だと思っています。

学校教育は一律で公平な教育が求められますが、塾は生徒に応じて”不公平”でもいいと考えているんです。その子が持っている最大の力や興味分野など、人によって違うところを深掘りする”公平性”で教えられるところが塾のいいところで、照子舎もそういう場所でありたいです。

その上で、生徒には「自分で自分を幸せにする気持ちを持てる」ようになってほしいと願っています。コロナのような想定外の未来がこの先待っていても、怯まずに前に進んでいく勇気や基礎体力をつけてあげられる存在でいたいですね。

――――重本先生にとって、『教育』とは何でしょうか?

インタビュー

重本先生
私は、教育って「祈り」に通じるなって思うんです。

「難問を解きたい」と願えばわからないことでもどんどん調べて解こうとするし、自分が置かれた状況が困難でも「自分の能力以上の学校を目指す」と強く願うシーンがありますよね。

毎日のレッスンを楽しんでもらいたい一方で、彼らが理想の未来に一歩でも近づけるよう、その歩みを支えるのが教育だと思います。

教育は、決して相手に教えたり相手を変えたりすることではありません。
むしろ私から影響を受けてほしくないとさえ思っています。そもそも、自分が「大人」で生徒が「子ども」と思ったことがあまりないかもしれません。

私はただ彼らより数十年先に生まれただけなんですから。子どもたち自体が未来から帰ってきている感覚もあるんです。
子どもたちと話していると、その子たちの未来の姿が同時に見えて、その未来の子どもたちが「自分にこれをさせておいてくれ」なんて語りかけてくるような不思議な感覚になります。
目の前の瞬間を一番いいものにしたいと思ってやっています。

「大人」「子ども」ではなく、お互いが不完全なことを分かった上でお互いを尊重することが大切です。
子どもの方が本当によく考えていたり鋭い観察をしていたりして、本当に私自身が子どもたちから日々学んでいますよ。

――――重本先生、ありがとうございました!

どんな子どもも自分らしくいられる照子舎。お話を伺う中で、家族のような温かい空間が思い浮かびました。子どもも大人も関係なく、「ひとりの人間」としてお互いの良いところを学び合う姿勢を毎日の生活に取り入れていきたいですね。


▼先生シリーズは
画像をタップしてお読みいただけます。

最後までお読みいただきありがとうございました。
今回のインタビューは、ビジネスレザーファクトリーのメールマガジンにてお届けしたコンテンツです。
メルマガでは、「働くを楽しくのヒント」を伝えるインタビューや、商品やイベント情報をお届けします。


期間限定!母の日「手描き刻印」受付中!
▼詳しくは、画像をタップ♪

母の日TOPバナー

当店の全国の直営店舗では、
お客様とスタッフの健康・安全面を最優先に考慮し、感染症予防対策を実施しています。
今後も安心して店舗をご利用いただけるよう、一つひとつ対策に努めてまいりますので引き続きよろしくお願い申し上げます。

▶<直営店舗>当店の新型コロナウイルス感染症対策について



▼全国の直営店舗一覧は、こちらから

この記事をシェアする