コーヒーに魅了された元商社マンが叶えたい、飲むひとと生産者が繋がる世界。<働くを楽しくのヒントを伝えるマガジン>

“商社からベンチャーへ転職する”。

一言でいう分には簡単ですがそこにはたくさんの想いとエピソードが。

人生を紡いでいく過程で見えてくる、「選択」の瞬間。

今を迷い背中を押して欲しいひとにエールをくれるような、そんなインタビュー記事になりました。ぜひ最後までご覧ください♪


<語り手>
GOOD COFFEE FARMS
空賀啓輔さん

大学時代のアメリカ留学を機に、コーヒーの魅力とその背景を知る。大学卒業後、商社でNY駐在経験などを経て、コロナ禍を機にGOOD COFFEE FARMSへ転職。現在は、事業開発として、営業からマーケティング、生産管理まで多岐におよび活躍中。


<聞き手>
ライター
横山アース

神戸出身の福岡移住者。
阪神淡路大震災の2ヶ月前に生まれ、防災を通じて、誰もが大切な人を守れるしくみをつくりたいと思うように。食べることが大好き。


留学中に出会った
コーヒーの世界

横山空賀さん、本日はよろしくお願いいたします。まず最初に、コーヒーとの出会いを教えてください

空賀:大学時代のアメリカ留学がきっかけです。

もともと父親とか祖父はコーヒーをよく飲んでいたので、コーヒーは身近なものだったんですが、自分が別に飲むわけではありませんでした。

留学してハウスメイトのひとりがコーヒー好きだったというのと、コーヒーやお洒落なカフェを紹介する、キャンパス新聞をつくるスチューデントクラブに入ったことが大きなきっかけでした。

横山そこでコーヒーを通して世界が広がっていったんですね。

空賀:コーヒーそのものにも興味をもったことと、コーヒーが”人を魅了する何か”にも興味をもって、のめり込んでいったのが始まりですね。

そのあとブラジル人の友達ができて、偶然コーヒー農園に行く機会があり、そこで現場を知ってまた刺激を受けて、どんどん虜になっていきました。

横山具体的にどんな部分に惹かれたのでしょうか?

空賀:正直よくわからないんです。(笑)

当時(2014年頃)は、まだ今のようなスペシャリティコーヒーとかシングルオリジンとか、産地にこだわったお洒落なコーヒー屋さんって、日本やアメリカでもあんまりなかったと思っています。

留学中、日本に展開する前のブルーボトルコーヒーを飲んでも「酸っぱ!」っていうくらいであまり美味しさを感じられなかったんですよね。

ただ、コーヒーを通じてお互いを知るとか、一緒にコーヒーについて調べて、ひとつの雑誌の記事をつくりあげていくとか…。そういうようなことを通して、異文化を知っていくことだったり、ちがうバックグラウンドを持ったひとと仲良くなる経験をくれたんですよね。

コーヒーって消費国には異文化のひろがりを与えてくれて、生産国に行くと、広大な農園や生産背景など、また違った世界が広がっているのが面白いなと思っています。

横山その経験は、ビールや他の食べものにはならなかったんでしょうか?

空賀:コーヒー以外でもなったと思います。お酒だったりチョコレートだったり、ビールでも…。

やっぱり言語がネイティブではないので、音楽やアートなどモノを通してわかり合う、というのがあると思うんですけど、たまたま僕にとっては、それがコーヒーだったということですね。

NY駐在でみえたコーヒーの裏側

横山商社のときは、コーヒーと関わりはあったのでしょうか?

空賀:最初の5年間は、財務という職で働いていたので、コーヒーとは全く関係のない分野でした。そのあと食品系に興味をもって、食品の部署にいくことができましたが、食品全般だったので、コーヒー以外も見ていた感じですね。

横山:NY駐在が転機と伺いましたが、どんなことがきっかけとなりましたか?

空賀:転機となる大きなイベントがあった!

…というわけでもなく、NYは今までの「コーヒーを通して世界が広がる」ということを具体的に感じることが多かったですね。

たとえば、知り合いの知り合いから、コミュニティがどんどん広がっていくことが刺激でした。

また商社に入ったことで、自分の人生の中で叶えたいミッション1がチェックされた感覚でした。そして海外での駐在を経験した後、自分はこの後どうしようかと考えました。

帰国して1年で、ちょうどコロナで外出自粛になって、自分の時間が増える分、色々考えが巡り迷いましたが、「コーヒーではなにかやりたい」とずっと思っていました。

それくらい今まで、コーヒーに刺激をもらっていたし、コーヒーを知れば知るほど、消費側と生産側のギャップが大きく、課題が多い業界だと感じていました。

自分なら、このギャップと課題をどのように解決できるんだろうと悶々としていましたね。

きっかけは、ブラジルの友人から頼まれたひとこと

横山:いざ、新しい道に挑戦しようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

空賀:「コーヒーを日本に輸出したいんだけど手伝ってくれない?」と、ブラジルの友人から、ある日突然連絡がきたんです。

商社で働いていたので、ある程度知識はあるし、個人でも輸入はできるだろうとおもって、「もちろんいいよ!」と二つ返事で回答して、色々みるようになりました。

受けたのはいいものの、実際個人でやろうとすると大変なんですよ。

今までは、商社です。といったら、すべてやってくれたりスペースを確保してくれていたのですが、倉庫業者とか船業者とのやり取りも、すべて自分でやらないといけませんでした。

そこで悩んだときに、友人から紹介してもらったのが、カルロス(GOOD COFFEE FARMSの創設者)だったんです。

コロナに入る状況で、個人でやるなんて甘いよと言われ説教されました(笑)

「僕のところで学ばない?」と誘っていただき、じゃあ面白そうだし色々手伝ってみようかなと思ったのが、きっかけですね。

大企業からベンチャーへ思い切った行動の原点は?

横山:ちなみにカルロスさんと出会ったときはすでに退職されていたんですか?

空賀:カルロスと出会ってから、退職するまでは結局1年以上かかっていますね。

なのでその間は、週末副業みたいな感じで続けていました。

カルロスみたいな存在はなかなかいないので、気になっていたし、話をきいて面白いなと思ったけれど、内部事情や今後考えてることなどわからないことも多かったんですよね。

むこうも時間をくれるのであれば、もう少し時間をかけて知って、今後の事を考えたいなと思いました。

横山:商社から転職しよう!と決めきれたきっかけはなんでしたか?

空賀:それはもう積み上がりで、コロナの影響も大きいですね。

週末に自分の時間が増えたりとか、時間的な余裕は増えました。

あとは自分の決意の話ですね。

覚えておきたい、転職するときの大切な2つのこと

横山:転職を考えたときに意識したことがあれば教えてください。

空賀:会社を経営している知人に相談したのですが

「自分に120%の自信がないと、転職や起業はしちゃいけない。」という言葉が印象的でした。

でも人ってだいたい自信をそこまで持てないじゃないですか。

「そういうときどうするんですか?」と聞いたらそれは「120%、200%もってるひとの下で働くしかない。」って言われたんですよね。

その意味だと、カルロスは当てはまるなというのがありました。

二つ目は、もっとリアルな話なんですが、転職したあとのリスクについてですね。

数字として考えたことはなかったのですが、今の生活と必要な金額とを計算したときに、転職しても大丈夫だなと思えました。

むしろ「いま転職をしないほうがリスクかもしれない!」という考えに切り替わったことも、背中を押してくれた大きな理由です。

横山:小さいころからわが道を行ける方ですか?大きな決断をするときに大切にしている考えなどあれば教えてください。

空賀:昔から、ひとの意見はきくけど、最終的には自分の意志で決めてきました。

意識している考えは、ありきたりなんですが「人生の選択のときは、自分がつらいほうを選べ。」というのは、考えましたね。

横山:自分の人生をかけてついていこう!と思えた、カルロスさんの魅力をぜひ教えてください。

空賀:人ったらしなところですね。やっぱり一番上に立つ人にとっては大切だと思います。

何か足りない部分があっても、例えばビジネスまわりのところは、自分ができる限りカバーすればいいかなと思えました。

あとは、自分の人生かけてやりたい!っていうパッション。

そこが自分より、120%、200%だなと感じられました。

いまの会社だからこそできること

空賀:簡単にいうと、弊社はグアテマラでスタートした200名くらいの生産者団体です。

そこでコーヒーを作って、輸出入から日本での販売まで全て一貫して行っている会社ですね。

違いは生産側に、「どれだけ濃いしっかりとしたインフラを持ってるか」っていうのが、商社とは全く違っています。

どうしても日本は、コーヒーの生産国からはすごい離れていて、生産側の事情、生産側の事情は、全て現地側に任せてるっていうのが、実際なんですね。

商社は、生産国側の輸出商社と、コンタクトを取って、取引をしているだけなので、その先の農家さんまでの道はブラックボックスになっています。

実際何が具体的に問題なのかっていうことと、どのようにすれば解決できるのかっていうのは、正直日本からは全くアクセスできない。

でもGOOD COFFEE FARMSには、アクセスできるインフラがあって、それに対して直接何かを還元していけるっていうのが一番の魅力ですね。

横山:空賀さんの、働くを楽しくのヒントや、何か壁に直面したときの乗り越え方を教えてください。

空賀:基本ポジティブで寝たら忘れるタイプですね。

次、よく言われる話ですが、実践していいなと思って続けているのは、悩んでることは紙に書き起こせば、意外と大したことない。

ってことですね。なので、悩んでることがあったら紙に書いておく。

そしてそれを翌朝見たら、「あれ?なんでこう考えてたんだろう」って後から気づくことはありますね。

横山:前職も含めて、「もういやだ逃げたい!」みたいなと思われたことってあるんですか?

空賀:そりゃ誰でもありますよね(笑)

NYのときは大変であったりはしたんですよ。夜中までずっと働いて、ちょっと部屋に帰ってシャワー浴びてまた行く…みたいな。

そういうときは、紙には書いてるんですけど、それでも忘れられないときもあって…。

そのときは、とりあえず継続して寝続けるしかないです!(笑)

飲むひととつくるひとが繋がる仕組み

横山:今の空賀さんが思い描いている未来や目標みたいなのってあったりしますか?

空賀:一つは遠い未来の話かもしれないんですけど、例えば一杯のコーヒーを飲んだときに、この裏にいる生産者っていうのが、より顔の見えるend-to-endで繋がれる世界を作りたいなっていうのは思っています。

それをまず、日本発でやることにも意義があるとは思っていていますね。

自分個人としては、やっぱり海外に住みたいんです。

できれば、中米とかは3時間で行けるアメリカのカリフォルニアとかに…。

それでちょこちょこ農園いくのも理想です。でも本当に生産国側にもっといたいなっていう気持ちもあるんで、若いうちに早くいきたいと思っています

あんまり年取るといけないんで、早くいきたいですね!

横山:空賀さん、ありがとうございました!

次回は、空賀さん直伝の、美味しいドリップコーヒーの淹れ方についてお届けします。


インタビューを終えて

理路整然と穏やかな口調で語る空賀さんのお話ぶりから、ご自身の意思で選択してきた今の人生を心から納得して前に進んでいる様子が伝わってきました。

「人生の選択のときは、自分がつらいほうを選べ。」と一言では言えても簡単にできる人ばかりではないはず。転職以外にも大きな決断をする時や、悩んだ時に突破するヒントになった方も多いのではないでしょうか。

週末はGOOD COFFEE FARMSのコーヒーを片手に、ジブンに向き合う時間を作ってみたいな。そんなふうに思いました。


最後までお読みいただきありがとうございました。
今回のインタビューは、ビジネスレザーファクトリーのメールマガジンにてお届けしたコンテンツです。
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