ビジレザのものづくりのアンカーを担う販売メンバーたち。彼らがビジレザで自分らしく働いている姿にスポットを当て、お伝えしていきます。今回は、福岡天神店で活躍する店長 白石嘉宏(ニックネーム:よっさん)をご紹介。現場監督から大手アパレルメーカーを経て、ソーシャルビジネスの世界へ。バングラデシュ渡航や、店舗経営を通じて思い描いた「泥臭くとも、実現したい姿」とは?熱意溢れる博多の兄貴!白石の声を届けします。
何事も知ってないと気が済まない性格ではあった
ー現場監督からアパレル。少し変わった経歴ですよね?どうしてこの道を辿ったんでしょう?
街を歩いていて、ブランドのショーウインドウに目が止まったのが始まりでした。「自分もこんな風にショーウィンドーのディスプレイがしたいなぁ」と心を奪われる感覚があったんですよね。もともと洋服が好きだったのもあるんですけど、「自分はこれがやりたい」と強く思い、陳列やデザインの勉強を始めました。
ただ勉強して理解していけばいくほど、この空間自体がどう作られるかも知りたくなっちゃって。例えば上から物を吊るすディスプレイがしたいとする。そんなときに、天井には何が使われていたらいいのか、何キロまで耐えられるのか、照明はどう当てるか、など全部仕組みを知らないとできない気がして、現場監督になりました。
そして何年か施工現場を経験した後に「VMD*募集」の求人を見つけて、アパレル業界に転職しましたね。まだ当時は”VMD”の概念もないような時代でしたがいきなりリーダーを任され、そこからVMDとして2社経験しています。
ー夢を叶えて活躍してたんですね。そんな中、再度転職を決意したのはなぜなんでしょう?
「大量生産、大量廃棄」の現場を嫌になるくらい見てしまったことが大きなきっかけですかね。元々洋服が好きでやってるのにその現実を目の当たりにした時に「なんかここに加担するようじゃダメなんじゃないか?」と思いました。仕事自体は楽しかったんですけどね。一人だったらその「楽しい」だけで良かったのかもしれません。でも結婚して子供が産まれたことで「我が子が誇れる仕事をしたい」と思ったんです。
そんな時にいろいろと検索してボーダレス・ジャパンとビジネスレザーファクトリーのことを知って。福岡にこんな会社があるんだ!とびっくりしたと同時に、自分がこの業界で不満や不信に思っていたことを、ちゃんとやってるんだと衝撃を覚えましたね。
生産者に対するリスペクトがあった上でビジネスとして持続ができているし、自然環境や人を大切する文化などもあり、希望に見えたんです。まぁでも正直、表向きそういう表現をしてても中身は違うことなんてたくさんあるから、入ってみるまでわからないですけどね。(笑)面接で話を聞いて、賭けてみようと思ったんですよ。
見渡せばいくらでもあった”すべきこと”。
ー5年前、実際にバングラデシュにもいきましたよね。その時にはどんなことを感じましたか?
その時は結構カルチャーショックでした。うちの工場はめちゃくちゃ綺麗で、その上みんなイキイキしていたから嬉しかったけど、一歩外に出ると家もインフラもどこを見ても整ってないんです。路上で生活してる人をみたり、自分の娘と同じくらい小さな子が物乞いしてたり。これをみた時に、もっとこの工場を大きくしなきゃいけないなぁと肌で感じました。
そして日本に帰ってきて改めてソーシャルインパクトのことを一番に考えるようになったんです。頭では理解していたけれど、本当にそこにインパクトを出すためには、何ができるか徹底的に考えました。そして当時自分はマーケティングチームに所属していたんですが、サービスフォース(店舗勤務)へ異動する決断をし、社長に直談判しました。
なぜなら雇用を増やすためにすべきことは「店舗の出店加速」だったからです。しかし当時は全店舗、右も左もわからない中で運営をしてたんで、土台が本当に脆くて。ノウハウが蓄積されていなかったり、連携のルールがなかったり、効率が悪いなという部分もたくさんありました。
今しっかり基盤を作らないと店舗をどれだけ増やしても意味がないぞと思いましたね。横展を見越して店舗の土台を作りに行く決意をしたんです。
ーまずそこで一番にしたことはなんですか?
まずは棚卸しの見直しです。なぜなら「在庫」が生産をしているバングラデシュ側にも、経営にも直結してインパクトが出る場所だったからです。
今考えるとゾッとするんですけど、当時なんと毎月の棚卸しで30,000点くらいの誤差が出てました。そのデータを元にバングラデシュに発注するから過剰在庫になって経営を圧迫する。さらに過剰に在庫を持ってしまうと、発注を増やせなくなってしまい、バングラデシュへの発注数が減り雇用数が減ってしまう。これを食い止めないといけないと思いました。
そこから自店舗で実践しながら数え方も入力の仕方も、実施日数も、全部見直して変え、「これならいける!」と思えたので全店舗にレクチャー。そしたら毎月誤差0の店舗もバンバン出てきたんですよ。
その経験を経て、今もルールがグレーなこととか効率化できそうなところは、全部変えようと思ってやってます。いつか変わるのを待ってちゃダメなんです。ビジレザは「それぞれが自走してどんどんやろう!」という社風なので、自分が主体性を持って変えていく努力をしないと。
売上に対する考え方も変わりましたね。最初は全店で売上1位かどうかとかを見てしまっていたんですけど、ソーシャルインパクトにちゃんと繋がっているか考えるようになりました。売上がどれだけ良くても、「販売点数が少ない・利益が出てない」だと意味がないから。
「希望」「夢」「楽しく働く」泥臭くても言い続けたい。
ー店舗経営のことのみならず、メンバーの育成に対しても人一倍熱意をもっているなと思うのですがそれはなぜでしょう?
常設店を増やすと同時に増やしたいのは、そこにいる”ブランドの顔”となるメンバーです。ビジレザってこういう会社だからか「誰かのために頑張りたい!」っていういいやつばっかでしょ(笑)そういうみんなが苦戦するのって「何かしたいのに自分の力を発揮する場所がわからない」なんですよ。
せっかくやる気があるのに、それで悩むのはもったいなくないっすか?だから自分はメンバー一人一人にスポットライトを当てる仕事をしたいと思っています。イメージとしては自分がいる天神店をOJTをする店舗にしたいですね。基盤を学ぶ場所であり迷ったらここに帰ってきたらいいよっていう場所。
やっぱり20年この小売業界で仕事をしてきて、「これがやりたい!」って言えちゃう環境はこれまでなかったんですよね。なんらかの圧力で潰されちゃうことばっかりで、途中から諦めてしまう。そんなの勿体無いと思うんですよ。
若手メンバーが挑戦するためには、自分達が新しいことやってる背中を見せていかなきゃいけないし、いつでも意見やアイディアを言える環境を作らなくちゃいけない。そして何があっても尻拭いするからやっちゃえよ!って言える人でありたいです。
結局お客様にとっても、魅力的な販売員がいることは最大の価値なんですよね。自分はリピーター作りにすごく力を入れているんですが、その最初の入り口には「あなたがいるここが好き!」が理想的だなと考えていて。販売力やテクニックなんて置いといていいから、みんなにはとにかく自分らしく、夢を追いながら、イキイキ働いて欲しいです。
*VMDとは
正式名称「ビジュアルマーチャンダイジング」。VMDとは、陳列方法や演出方法を工夫し、商品やサービスがより魅力的に見えるように消費者の視覚に訴えかけるマーケティング手法。