先日、店舗の見せ方を勉強するために立ち寄った、あるファストファッションのお店での出来事。

販売員のある一人が、フィッテイングルームの裏で、明らかにめちゃくちゃキレていた。お客様が試着した後のハンガーを、洋服ごと床にたたきつけていた。私だけが見た、たった5秒の話。

誰かから理不尽なことを言われたのかもしれない。何かイライラすることがあったのかもしれない。だけど、私はそれを見て、「もうこのブランドでは、一生買わないな…」と心の中で思ってしまった。そしてとても、悲しかった。

理由は二つ。一つは「商品が大切に扱われていない」と思ったから。もう一つは、彼女が店頭に立っている以上、最前線にいるからこそ、彼女はそのブランドの「代表者」であり、その彼女がそういう態度をするのであれば、それがそのブランドの姿勢だと思ったから。

「全員が代表者であるということ。」
その意識が一流のサービスを創りあげる。

さて、そんなことを考えながら手に取った一冊。レオナルド・インギレアリー、ミカ・ソロモン著「リッツ・カールトン 超一流サービスの教科書」。

ここ最近、一流の「サービス」や「顧客体験」を学びのテーマとして読書をしているが、サービス業の中でも、リッツカールトン、ディズニー、ザッポス、スタバのサービスや顧客体験は、改めてすごい、と思う。

「顧客満足」は、ホテルだけでなく、すべてのサービス業界に通じるもの。本書は、「教科書」というだけあり、様々な事例が、具体的に説明されている点が、良かった。

例えば、スタッフがつかう言葉については、「適切な言葉づかい」、「不適切な言葉」だけを集めた用語集をつくると良い、と言う。

ポイントは、「こういう言い方をしなさい」というマニュアルにはしないこと。スタッフが顧客に向き合うとき、サービスは必ず一対一の関係性の中で行われなくてはならない。顧客にとっては、目の前のスタッフこそが、そのホテルの、ブランドの、代表者だからである。

もし、スタッフが漫然とした態度で、一辺倒な対応をしたのであれば、顧客はすぐさまその匂いを嗅ぎとってしまうだろう。表面上は飾り立てられていても、お客さまには必ず透けて見える。それは、言葉の端々に出てしまい、ブランド全体の印象を汚すことになってしまうだろう。

「教科書」の内容は、スタッフの育成や組織のつくり方、リーダーシップにまで及び、自分の店舗で置き換えてみても、とても有益かつ参考になる内容だった。

ラグジュアリーホテルのサービス論だからと、敬遠するのは勿体無い。この本は、お客様を相手にする全てのサービス業界において、「一流を育てる」指南書である。業界問わず、経営者、店舗経営者、最前線でお客さまに対峙する販売スタッフにもおすすめ。

「一流」であることを追い求め、自分の仕事にもプライドを持って取り組もう。そう、改めて背筋の伸びた一冊だった。